ノースリーブワンピースを縫う5つの方法【袖なしワンピースの縫製攻略】
洋服を作ろうとすると、ボタンをつけたり、ファスナーをつけたり付属品を使って着用できるようにします。しかしながらその付属品をつけるのが苦手な方もいます。
服を作るときには同じ条件でも作り方にいくつかの方法があり、知ると知らないとでは出来上がりに違いがでてしまいます。今回はファスナーをつけたり、釦をつけたりしない、頭からすっぽり入るワンピースの首と肩を縫う5つの方法について紹介していきます。
ワンピースを簡単に作れそうで作ってみると作っていくうちに形はできても頭が入らなかったり、どの順番で縫えば仕上がるのかがわからなくなったり、簡単に作ろうとすればするほど深みにハマって結局仕上がりにいきつかないということになってそのまま放置ということもありますよね。
まずは作る前の確認事項をしてみましょう
襟ぐりあきの採寸
洋服を作るといってもすぐに作ることはできません。作るまえには必ずその前の準備が必要になります。作る服によってもいろいろ確認は様々ですが、今回の場合は以下の3つの確認をしておきます。
- 頭まわりの寸法を確認
- 着用時のゆとりの確認
- 素材の確認
① まずはじめに注意するのは着用するための頭まわりの寸法をきちんと測っておくということです。前にも後ろにも空きがないため、あきの寸法を確認せずに作りそのまますっぽりと頭が入らなければ、せっかく作ったワンピースが台無しです。
頭がすっぽり入るサイズのネックラインを作成します。例えば頭まわりが56cmだったとしましょう。それにゆったり入るため5~6cmのあきを入れて、首まわり62cm程度のネックラインを製図します。
② 着用時にあきがなければ、着脱ぎする時に十分なゆとりを入れておかなければ気持ちよく着替えることができません。身頃にも着がえるに十分なゆとりをもっておきましょう
③ 素材が伸縮性のない地なのか伸縮素材なのかを確認しておきましょう。素材が伸縮するのかしないのか、素材によってゆとりの入れかたが変わります。
お店で買った型紙をファスナーつけたくなかったからそのまま縫ったら頭がきつくて入らなかった!
市販の型紙でも頭が入るように首まわりを少し広くしたら、ファスナーや釦をつけなくてもいいのでパターンを自分で少し変えてみるのもいいね。
今回の製図は体の半身の製図をするため襟ぐり64cmを単純に2で割って32cm、ここでは、中心から半分に折った後ろ襟ぐりを13cm、前襟ぐりを19cmというサイズで作ります。少し大きい首まわりのあきを作るデザインになります。
縫製するのは4枚の型紙
空きなしのためここでは最低限の4枚のみの説明をしていきます。以下の4枚になります。
1 前身頃
2 後ろ身頃
3 前見返し
4 後ろ見返し
見返しにはすでに接着芯を貼ってあり、縫い合わせを行わない位置はロックミシンで始末してある(図右黄色)と仮定して説明します。(接着芯は裏側の布に貼って表布を支えたり、美しいシルエットを保つために見返しには必ず貼っておきます。)
その1:肩先を先に縫う方法(肩幅が広い場合)
まず肩幅が広いサイズのときの縫製方法です。
① はじめに前身頃と後ろ身頃の肩線を縫い合わて縫い代をアイロンで割ります。
② 前見返しと後ろ見返しの肩線を縫い合わせて縫い代をアイロンで割ります。
③ 身頃と見返しの襟ぐりを中表に合わせて、前中心、後ろ中心、SNP(サイドネックポイント)をまち針であわせて、1週ぐるっと縫い合わせます
④ 縫い合わせた襟ぐりの縫い代をハサミで縫い目に向かって切り込みを入れていきます。(カーブがきついところはこまめに1cm間隔で、カーブがあまり強くないところは2~3cm間隔で切り込みを入れていきます)
⑤ ④の切り込みが入った縫い代を見返し側に倒してアイロンで切り込みを押さえていきます。こうすることでよりきれいにネックラインがきれいな形に整います。
⑥ 切り込みを入れたら見返しに切り込みを入れた縫い代を固定するため、見返しを上にして縫い代を見返し側に倒して襟ぐりから2mmの位置を1週ぐるっと縫っておきます(このとき、表の見頃を縫ってしまわないように気をつけましょう)
こうすると見返しが表に出てこなくなるよ
⑦ 見返しを表に返してアイロンで縫い代を整えていきます。
⑧ 身頃と見返しのAH(アームホール:袖ぐり)を縫い合わせていきます。
これをそのまま縫うと表に返せなくなるので、まずは右肩から縫い合わせていきます。右肩の見頃と見返しを広げておき、左身頃の見頃と見返しを小さく丸めて折りたたんで右肩側の上におき、広げた右肩の身頃と見返しを元にではさみ、ピンを打ちます。
⑨袖ぐりを縫い合わせます。
⑩縫い代に切り込みを入れて表に返します。返したところをアイロンで整えて完了です。
⑪左身頃も同様に⑧~⑩を繰り返していきます
その2:肩線を残して縫う方法(肩幅がせまい場合)
肩線を残して縫う場合、比較的肩幅がせまい場合に適しています
①前身頃と前見返しの襟ぐりと袖ぐりをそれぞれ縫い合わせます。このとき、縫い始めと縫い終わりは2~3cm程度縫い残しておきます。
②縫い代に方法その1と同様に切り込みを入れて表に返します。アイロンはまだかけません
③次に後ろ身頃も襟ぐりと袖ぐりを縫い合わせます。
④縫い合わせたら、②を後ろ身頃の肩に挟んで縫い合わせます。このとき前身頃は後ろ身頃と前見返しは後ろ見返しと縫い合わせます
⑤縫い合わせた肩の縫い代をそれぞれアイロンで割り、後ろ肩から前肩を引き出して襟ぐり、袖ぐりともに縫い残しを縫い合わせていきます。
⑥縫い合わせた肩を表に返します
⑦次に縫い残してあった前見返しと後ろ見返し、前身頃と後ろ身頃の脇をそれぞれ縫い合わせます。縫い合わせたら袖下(AH)を縫い合わせます。縫い合わせたところに切り込みを入れてアイロンで整えていきます。
その3:見返しを襟ぐり、袖ぐり別々につける方法
ここからは4枚の型紙のうち前見返しと後ろ見返しは、襟ぐりと袖ぐりに分けて作成していきますので、見返しが6枚になり、身頃と合わせて合計8枚を縫い合わせます
① 前身頃と後ろ身頃、前襟ぐり見返しと後ろ襟ぐり見返し、右前袖ぐりと右後ろ袖ぐり、左前袖ぐり見返しと左後ろ袖ぐり見返しのそれぞれの肩線と脇を中表にして縫い合わせ、縫い代をアイロンで割ります(身頃も見返しもそれぞれ前後を縫い合わせるので形としては輪っかになった状態のものが4つあるイメージです。)
② 身頃に襟ぐりの見返しを縫い合わせ、縫い代に切り込みを入れてひっくり返しアイロンをかけていきます。このままでは見返しが元に戻ろうとするため、襟ぐりに表からステッチをかけていきます
表にステッチを見せたくない場合は、両肩と前中心、後ろ中心をたてまつりでまつっていくといいですよ
③ 身頃と袖ぐり見返しを縫い合わせて②と同様に切り込みを入れてアイロンで整えて表からステッチをかけていきます
④ 肩線と袖ぐりの見返しの接ぎ目を身頃にとめておきます
その4:襟ぐり、袖ぐりを始末する方法(バイアステープで袖ぐりをくるむ方法)
この方法は見返しをつけずにバイアステープを使って縫い代をくるんで始末していく方法です。バイアステープを表にみせることで端がきれいになったりデザインのアクセントとしてテープの色を変えてデザインを生かすこともできます
① はじめに4cm幅程度のバイヤステープを用意します。バイアステープの両端を1cmずつ折って全体を1cm程度曲げておきます。
② 片方のバイアステープを身頃にあてて、袖ぐりや衿ぐりの裏側におき、端から1cmにミシンをかけます。このとき、はじめの1cmは出来上がり手前に曲げておきます。
バイアステープは身頃に縫い付けるとき、直線に近い部分はテープを少し引き気味に、曲線が強い部分(袖下など)は逆に引っ張らないように注意して縫わなくてはいけないよ
② ぐるっと1周まわってきたら、始めりの上に終わりを重ねて置いて、ミシンで縫います
③ 一周縫ったら次に表側から②の縫い目を隠すように表側からステッチをかけていきます・
表から見えるステッチはさっき縫ったところよりも外側になるから直線にちかい袖ぐりも少し引き気味に、袖下などカーブの強いところは思いっきり引っ張りながらステッチをかけないとミシンのあとが引きつってしまうよ
その5:襟ぐり、袖ぐりをバイアステープで始末する方法(バイアステープが表には見えない)
① 次は先に袖ぐり寸法を測って出来上りにバイヤステープに折り目を先につけておき、端をつなぎ合わせて輪っかにしておきます。バイヤステープを身頃と中表に合わせて袖ぐりの下の方から縫い合わせます。
さっきとはちょっと違って、はじめに縫うときはあまり引っ張りすぎないように、②の折り曲げたバイアステープをつける時にはひっぱリ気味にしてつけましょう
②折り曲げたバイヤステープにそって身頃の裏にステッチでミシンをかけていきます。
先にバイヤステープをつなげるときには0.5cm程度少し短めにしておき、縫い合わせる時に引っ張り気味にして縫うと良いです(中級者向き)
いかがでしょうか?バイヤステープのつけ方については2通りの方法を紹介しましたが細かく言えばキリがないほどまだまだ丁寧なつけかたになります。
大事な1着を縫う方法はさまざまあります。これがすべて正しいということでもありません。ご自分のデザインにあった方法で、どんなふうに仕上げていきたいのか、服と対話しながらご自分にあったやり方でぜひ着心地のいいあなただけの服作りに挑戦してみてください