洋裁の基礎の縫い方
縫い方を始める前に必ず覚える結び方と止め方!
布を縫う方法には手縫いとミシン縫いがあります。これから手縫いの方法について紹介していきます
最初に手縫いをする上で、はじめに縫い糸がほどけないように玉止めの方法を覚えましょう。
針に糸を通したあと、まず一番はじめにすることが、この玉止めです。玉どめをせずに縫い始めてしまうとせっかく縫った糸が布をすりぬけて、糸が布からぬけてしまいます。必ず最初に玉止めをしましょう
【その1】玉結び~手に糸をからませる方法
①右親指と人差指の間に糸を上から下にしてはさみます
②左手で、①から5~6cm離れた糸を持って右人差し指に一回転させ、親指と人差し指の間にまたはさみます
③右親指と人差指の間の2本の糸をはさんだ状態で人差し指を親指の根元側にずらして糸をからませます
絡まった糸が解けないように親指と人差指でしっかりと糸を抑えることが大事です。
④ずらして人差し指から糸が取れそうになったら、右の糸を引っ張ります。(難しいときは糸が取れそうになったら、中指と親指で糸を押さえて糸を引きます)
⑤出来上がりです。
【その2】玉結び~針に糸を絡ませる方法
①糸の通った針を上向きにして左手の親指と人差指で持ちます。
②長い糸の最後の方を針に2~3回巻きます。巻き終わった糸を左親指のほうへ引いて、糸がゆるまないように親指でしっかりと抑えます。
③親指でしっかりと糸を押さえた状態で針をひきます。このとき、短い方の糸が針から抜けないように針の根元を押さえてひきましょう。
④出来上がりです。
玉どめができたら、一度糸を左右の手でしっかりと引っ張って。弦をひくように糸にテンションをかけます。そうすることで糸がゆるみ、手縫いがしやすくなります。
<テンションとは>
糸の両端を両手で引っ張ってぴんと張り、空いている薬指で糸を弾くこと。2~3回弾くことにより、折り目のついていた糸のくねくね曲がりがなくなり、縫いやすくなります。アイロンがついていたらアイロンの下に糸を置いてアイロンをかけてもまっすぐになります。
色々なやり方があるからテンションをかけて縫い始めると、途中に糸が引っかかりにくくなるよ
【その3】玉止め
縫い終わりの糸が抜けないように作る結び玉のことで、針先に2~3回糸を巻きつけて針を引き抜き、糸を引き締める方法
運針
【その4】並縫い
最も一般的な針の運び方です。仮縫い合わせや、ミシンを掛ける前のしつけとして用います
①2枚の布を合わせて縫う方法で、表布と裏布に0.2~0.4cmの等間隔で針を運びます。
【その5】返し縫い~本返し縫い~
針の進行方向を返しながら縫うので本返し縫いという、縫い目がほつれなように、縫い始めや縫い終わりに、または縫い目を丈夫にしたいところに用いる(下記画像 A参照)
【その6】返し縫い~半返し縫い
針の進行方向を半分だけ返しながら縫うので半返し縫いという。本返し縫いよりは弱い縫い目になるので薄い布など縫うときには本返し縫いよりも縫い目がなじみやすい(下記画像 B参照)
【その7】逆からの返し縫い
表に針目を目立たせないように、織り糸の半分をすくうぐらいに縫う。糸は引きすぎると表にあたりがでるので、ゆるく引く
実はここまでだけでも小さなものは縫っていけます。例えばあずま袋。ミシンで縫えば早く仕上がりますが、ミシン目は詰まっているため、硬い仕上がりになります。
【その7】ぐし縫い
並縫いを細かくしたような縫い方で、ギャザーを寄せるときや袖山にいせをかけるときに縫う方法。並縫いや返し縫いが2枚の布を合わせて縫うのに対してぐし縫いは一枚の布に2本平行に縫うことが多い。
しつけ
【その8】押さえじつけ
仮縫いなどに用いる方法で、縫い代の落書き(おちつき)をよくするために、表から一目落とし縫いでする方法
【その9】置きじつけ
ミシンをかけるとき、布がズレないように、また仮縫い合わせのとき、縫い代を押さえたり、芯を吸えるときなどに用いる
【その10】斜めじつけ
2枚以上の布がずれないように止めるしつけの方法で、針目は斜めになる。直線のしつけよりずれにくく、ある程度の幅で固定することができ、主に裏付きの仕立てに用いられる。
【その11】巻きじつけ
ラペルや上襟の返り線など、外回りのゆとりを落ち着かせるときに用いる。折山を直角にすくい、斜めに巻いてしつけをかける方法。糸をひきすぎないように注意する。
【その12】切りじつけ
「きりび」ともいう。布にしつけ糸で印をつけていく方法。しろも2本取りで同じ形の左右2枚を出来上がりに合わせて同時に縫い付けて間の糸を切りそろえて、アイロンで押さえる方法
(しろもとは:しつけ糸の生成り色の基本的な糸の名称。他にも「いろも」といって色のついたしつけ糸で生地色と違う糸をつかうことによって印をわかりやすくする)
切りじつけは生地の表裏に一度に印をつけられる優れた方法ですが、間違えた方法で印をつけるとせっかくの印つけの効力をなくして縫っていく途中で糸が抜けてしまい、肝心の印がわからなくなってしまいます。
以下の点に注意して切りじつけをするように気をつけます。
1️⃣ 布をすくうときは1~2mm程度すくいます。すくう長さが0,5~1cm程度になると切りじつけがすぐにとれてしまい、長く出た糸の方から糸がとれてしまいます。
2️⃣ すくった糸を切るときには2枚の糸の隙間を少なくして布から糸が長く出ないようにして切ります。
糸を長く1cm程度に残しておくと仮縫いを解いたときなど一緒に引き抜かれてしまい、本縫いの時には切りじつけがなくなってしまいます。
3️⃣直線を切りじつけするときには糸と糸の間隔を直線なほど3~4cmおきに広く、曲線なほど2~2,5cmとせまく間隔をとると良いです。
間隔をとっても糸と糸のできあがり線が直線なのでわかりやすいですが、袖ぐりや襟ぐりなど曲線の部分はすくう間隔を短く2~2,5cm程度の間隔ですくうと曲線のラインがわかりやすくなるので曲線が激しいほど間隔を短く、曲線がなだらかならば、糸と糸の間隔を広げていくとよいです。
【その13】縫いじつけ
一枚づつパターンのきわを置きじつけの要領で縫ってしるす方法。薄手の布など、2枚重ねて切りじつけのしにくい布に用いる。糸は布を傷めないようにすべりの良い地縫い用の糸を使う。ウール地の場合は、裏面からチョーク印をして粗い針目のミシン縫いにする場合もある。
裁ち目かがり
【その14】裁ち目のままかがる方法 ~ほつれにくい布に用いる
【その15】捨てミシンをかけてかがる方法 ~ほつれやすい布に用いる
【その16】往復してかがる方法~特にほつれやすい布に用いる
【その17】ピンキング
綿、ウールなど、経ち目のあたりを防ぎ、縫い目をソフトに仕上げたい場合や、裁ち目のほつれにくい布の場合にピンキングばさみで断ち切る方法。縫い代の裁ちはしがバイアスになるのでほつれにくくなる。
まつり縫い
【普通まつり(たてまつり)】
布端を折ってしっかりと止め付ける方法。折り山に針を出し、その位置の表布の織り糸1~2本をすくう方法。
【流しまつり】
A:表布と折山を斜めにごく小針にすくう方法、まつり糸がななめにかかる。
(絹のように柔らかい布地、また動きをもたせてとめ付けたいときに用いる)
B:折り代の布端をほつれないように始末して折り上げ、しつけでおさえ、折り代をめくって奥を流しまつりの要領でまつる。(スカートやパンツの裾など)
【奥まつり】
裏布を表布に順応させるための方法。ジャケットやコートの裏
【撚りぐけ】
薄地のフリル裁ち端やヘムラインなどの始末に用いる
①捨てミシンを折山のきわにかけて裁ち落とし、ミシン糸を芯にして、細かく撚りながらまつる
【普通千鳥がけ】千鳥がけとは折り代を裁ち目のまま止めつけるのに用いる方法
糸を斜めに交差させ、上下を交互に左から右へ返し縫いの要領ですくって止める
【立ち千鳥がけ】
普通千鳥がけより丈夫に止める方法で、針目の間隔は狭く、左から右へ上下とも表まで通してすくう方法
【略千鳥がけ】伸止めテープや裏打ち布を止めるときに用いる。右から左へ上下交互に止めていき、上下とも表にひびかないようにすくう
止縫い
【星どめ】手縫いのファスナーつけ、前端、ラペルなど、無飾り仕立ての縫い代を落ち着かせるときに用いる
【かんぬき止め】手縫いとミシンによる方法がある。パンツの前あき止まり、ポケット口など、丈夫にしたい部分に用いる。
ボタンの付け方
A:力ボタンをつけない場合(四ツ穴ボタンの場合)
B:力ボタンを付ける場合(ジャケットやコートなどボタンが大きくて布地に負担がかかる場合、力ボタンをつけて丈夫にする)
C:飾りボタンで糸足をつけない場合(ジャケットの袖口飾りボタンなど)
D:足つきボタンの場合(くるみボタンなど)
スナップボタンのつけ方
スナップボタンは凹型と凸型の2つを組み合わせて使います。
主にブラウスなどの空きを作るとき、バッグの止めやに左右の身頃をあわせるときなどにスナップボタンをつけていきます。
スナップボタンの付け方については以下の映像を参考につけてみましょう
ループの作り方とつけ方
ループには布ループと糸ループというものがあります。それぞれについて作り方と付け方をみてみます。
布ループ
布ループは主に作っている共布から作られます。生地の端を折り返し、縫製してループを形成します。生地が縫製されているため、強度があり、ボタンなどの留め具に対する引っ張りに耐えることができます。
織物の特性や柄に合わせて布ループのデザインを調整できます。サイズや形状、色を自由にカスタマイズできます。
<布ループの作り方>
裁断した共布でバイアステープを作ります。ボタンの大きさに合わせて中表にしてミシンをかけて、ループを表に返します。ループは布で長めにとってボタンの大きさと合わせて必要な長さに測ってから必要な長さに裁断します。
布ループを付けるときには身頃の前端より2~3mm縫い代側(下図A)にに止めミシンをしておきましょう。このとき、ループの縫い目が表に見えるようにしてミシンをかけておくことが求められます。(布ループを正常位置に返したときに、縫い目が裏面にくるようにするため)
糸ループ
布ループがボタンの表面に見える役者とするなら、糸ループはワンピースの脇のウエストベルトを通すための役目だったり、スカートの裏と表をつなぐ役目だったりと裏方のような存在ですが、なくてはならない存在に変わりありません。
糸ループは、糸を使って縫製されたループ状の構造です。生地そのものではなく、糸が主要な要素になります。 糸ループは比較的細く、手縫いのプロジェクトに適しています。手縫いの際に簡単に作成できます。
糸ループは通常、細かいディテールや薄い生地に使用されます。繊細な仕上げが求められる場合に適しています。
<糸ループの作り方>
糸ループの作り方については動画を作成してありますので下記を参考に御覧ください