ロックミシンの糸のほどき方とロックミシンの使い方
ロックミシンといえば、スカートやズボンの裾や、脇や切り替え線の布はしなど、布のはしの始末をする非常に便利な機械なのです
しかし、慣れない方にとっては、購入した時期を過ぎてしばらくするとロックミシンの使い方を忘れてしまってうまく縫えず、使えなくなりミシン修理屋さんへ持ち込んだり、新たに買いなおすという声が多く聞こえてきます。
少し視点を変えてロックミシンを使ってみれば、まだまだあなたのロックミシンも現役でバリバリ働いてくれるかもしれないのでぜひこの機会に再度ロックミシンを日の目に出してロックミシンを使ってみましょう
今回紹介するロックミシンはJUKIのベビーロック衣縫人になりますが,その他のロックミシンも基本的な操作は同じような内容になりますので参考にしてみてください。
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ロックミシンの針と糸の位置関係
一番最初に確認しておくことは、ロックミシンをかけたときに、どの糸がどこを通っているか理解しておくということです。下記の画像は4本糸の場合のロック糸が通るそれぞれのラインになります。3本ロック糸の場合は、黒色か赤色の糸のどちらか1本の糸を使うことになります。
糸のかがり幅は下部つまみに上下で文字が書いてあります。例えば下図Mの文字の下6,0と3,5の場合、上記4本針で黒糸からはしまでが6,0、赤糸からはしまでが3、5という寸法になります。4本針の場合と赤糸までの3本針の場合では、かがり幅が変わってくることがわかります。
そっかぁ、今まで数字が2つ並んでいて意味が分からなかったけど、赤糸と黒糸の位置で幅が違ったんだぁ!
三本針の場合、針が黒糸側なのか、針が赤糸側なのかで幅が違ってくるね!
ロックミシンの基本的な糸の交換方法
上記画像を参考にして糸の交換方法について紹介していきます。
現在、糸が4本かかっているので、先に糸をはさみでカットしていきます
1・はじめに黒糸と赤糸の糸が針を通る直前の糸をカットします。ちょうど上図針の A→ の部分になります
2・次に それぞれの糸の真上の ✗ 印の部分をすべてカットして新しく使う糸と結びなおします。このとき、糸がほどけないように元の糸と新しい糸をそれぞれ引っ張ってきちんと結ばれていることを確認しておきましょう
3・すべての糸が結べたら、右側のルーパー側の糸2本(黄色と緑色)の糸を針下の元々あった糸 B→ を一本ずつゆっくり引いて結び目がでてくるまで待ちます。一本できたら2本目の糸も同じように引いておきます。
4・次に赤糸と黒糸はカットした針の近くの糸を引き出しておきます。(糸はまだ針を通っていません)
5・赤糸は右側の針穴に通して、黒糸は左側の針穴に通して糸はすべて左側に流しておきます。(針穴に通らない場合はラクスルーをつかって通す方法がありますので各メーカーのオンラインや取扱説明書で確認してみましょう。
ラクスルーって何?
ラクスルーとは自動針糸通しのことだよ。レバーの操作だけで簡単に針穴に糸を通すことができるんだよ
ラクスルーのついていないロックミシンの場合、極細の針金で針穴を通せるようになているルーパースレッダーやミシン針専用糸通し器(下図)という細い針金の糸通しもありますので使用すると便利です。(普通ミシンにも使用可)
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ロックミシンは、生地の端を仕上げるために使用される便利なミシンです。以下に、一般的なロックミシンの使い方を確認していきましょう
- 生地の準備: 縫いたい生地を適切に準備します。生地の端をきちんと切りそろえ、必要に応じてアイロンをかけて平らにします。
- 縫う位置の選択: ロックミシンには、3本糸または4本糸の縫い方があります。どちらを使用するかを選択します。
- 生地の挟み込み: ミシンの足を上げ、生地の端をミシンの足の間に挟み込みます。生地がしっかりとホールドされるように、手で軽く引っ張ってください。
- 縫い始め: ペダルをゆっくりと踏みながら、ミシンを動かします。生地の端をロックミシンの足の間からスムーズに通すようにします。このとき、生地を引っ張りすぎず、自然な流れで進めるようにしましょう。
- 縫い終わり: 生地の端が完全に縫い終わったら、ミシンのペダルを離して停止します。ミシンから生地を引き出す前に、糸の引き出し口がミシンの後方に引っかかっていないかを確認してください。
- 仕上げ: ミシンから生地を引き出します。生地の端の糸を適切な長さでカットし、仕上げが必要な場合は生地の端を処理します(折り返して縫ったり、オーバーロック処理をするなど)。
上記の手順を実践することで、ロックミシンを使って生地の端をきれいに仕上げることができます
ラクスルーを使ったロック糸の通し方
ロックミシンの糸の通し方で最も迷うことは、下部ルーパーと上部ルーパーへの糸の通し方です。これらの糸の通し方は、ミシンのメーカーやモデルによって異なる場合があります。そのため、特に初めて使う場合やモデルを変えた場合に迷うことがあります。
ラクスルーを使用した場合の下部ルーパーへの糸の通し方は、メーカーのオンラインや実際のミシンの取扱説明書を参照して通してみましょう。
上部ルーパーへの糸の通し方も、ミシンのメーカーやモデルによって異なる場合があります。一般的な手順は次の通りですが、取扱説明書を確認してください。
糸のテンションの調節
ロックミシンの糸の張り方で最も迷うことは、適切な糸のテンション(張力)の調節です。糸のテンションを正しく調節しないと、縫い目が均一でなかったり、糸がほどけやすくなったりする可能性があります。
一般的に、ロックミシンの糸テンションは、ミシンの上部テンションディスクや調節ノブ(上図)を使用して調節します。
数字が大きくなればなるほど強度は強くなり、数字が小さくなればなるほど強度は弱くなり(上図)糸は緩みます。
ただし、ミシンのメーカーやモデルによってテンションの調節方法が異なる場合があります。以下は一般的な手順ですが、取扱説明書を参照してください。
最も迷うことは糸の張り方であるかもしれませんが、実際の縫い目を確認しながら繰り返し調節を行い、慣れていくことが大切です。
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かがり幅の調節
かがり幅についてはロックミシンを触りながらどこをどんなに調節していいのか分からなくなることもあると思います。
針の下方向にある2つのダイヤルがそれぞれかがり幅と送り目になります
以下はそれぞれの幅を調整してロックミシンの調整をしたときの画像になります。
見ての通り、かがり幅が大きくなればなるほど糸の左右の間隔が広くなり、送り目が小さくなればなるほどループの上下の間隔が狭く密になってきます。
便利なアコーディオン(差動)レバーの使い道
ギャザーを寄せて縫う時,ニット素材など伸びやすい生地を縫う時,フレアスカートの裾をまつる時・・このアコーディオンレバーは生地を伸ばしたり、縮めたりしてその後の布の始末を便利にしてくれるすぐれものです。
通常は『N』のままでいいのですが伸ばしたい時、縮めたいときにはこのアコーディオンレバーを動かじ使ってみてより美しいラインの服を仕上げていきましょう♪
巻ロックミシンについて
巻ロックミシンは、さまざまな素材やデザインに使用することができます。以下に、一般的に使われる素材やデザインの例をいくつか挙げます。
素材
- ジャージー素材: 巻ロックミシンは、伸縮性のある素材であるジャージーやストレッチ素材に適しています。巻ロック糸が縫い目に柔軟性を与え、伸縮性を損なわずに仕上げることができます。
- ニット素材: ニット素材も巻ロックミシンで縫製するのに適しています。編み目があるニット素材でも、巻ロック糸がしっかりと生地に食い込み、ほつれを防止します。
- 薄手の生地: 巻ロックミシンは、薄手の生地にも使えます。薄い生地でも糸の引っかかりやほつれを防ぐことができます。
デザイン
- シームレスなデザイン: 巻ロック縫いは、シームレスな仕上がりを実現するのに適しています。素材同士をきれいにつなげることができ、縫い目が目立ちにくくなります。
- カットオフデザイン: カットオフデニムやカットオフTシャツなどのデザインにも巻ロック縫いが活用されます。切りっぱなしの生地をほつれないように仕上げることができます。
- ラップスカートやドレス: 巻ロック縫いは、ラップスカートやドレスの仕上げにも適しています。布の端をほつれさせずに仕上げることができ、美しい仕上がりを実現します。
ロックミシン糸の設置方法
巻ロックミシンは普通ロックダイヤルを巻きロック用に切り替えることで縫う事ができます。またルーパー糸をウーリーロック糸に変えることによってより美しい巻き上がりになります。
上図は巻ロックの(左から)1から4までのダイヤルで巻ロックミシンをかけたものです。ウーリー糸は使用していないため、一番右端のダイヤル4では通常のロックのように見えていますが、かがり幅が3mm程度のため、ルーパー糸をウーリー糸に変えることによって1と同じような巻ロックのかがりになっていきます。
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巻ロックミシンは、素材の柔軟性やほつれ防止に特化したミシンですので、これらの素材やデザインに使用することで、より美しい仕上がりを得ることができます。ただし、具体的な素材やデザインによっては、適切な針や糸の選択が必要な場合もありますので、使用する素材やデザインに合わせて適切な設定を行ってください。
バルキー押さえについて
ニット素材等を縫う場合にはバルキー押さえがあると便利です。のびどめテープや各種テープを押さえながらロックミシンをかけることができます。あとでテープが外れる心配もないので伸縮素材を使うときにはバルキー押さえを使ってみましょう
ロックミシン糸のほどき方
ロックミシンのほどき方について説明します。ロックミシンで縫った縫い目をほどく場合は、以下の手順に従って作業を進めます。
ロックミシンは一般的に2~4本の糸を使用しています。この糸はすそまわりや袖ぐりなど1周縫ってある部分は縫い始めと縫い終わりは2~3cm程度同じところを重ねて縫ってあります。
1 ロック糸のほどく手順としてルーパー糸(ここでは黄色と緑色の糸)は触らないことを基本として考えてください。
2 ロックミシンは表と裏で糸目が若干違います。上図で見てわかるように表側では黒糸と赤糸の縫い目がはっきり見えていますが、裏面では黒糸も赤糸も少ししか見えていません。
通常布の表側にロックミシンをかけてあることが普通なので布の表側を見た時に見える縫い目(ここでは黒糸と赤糸)の糸を表から抜いてほどいていきます。
一度に引くと糸が切れて布が傷んでしまうので5~6cmおきにリッパーや糸切りばさみで切って、その真中の赤糸(もしくは黒糸)を目打ちで引き抜いていきましょう。そうすると勝手にルーパー糸はほどけていきます。(下図右)
3・ただし、一周縫って重なっている部分がほどきにくいのでどうしても糸が絡まりやすいのですが、基本は同じなので赤糸と黒糸の部分を探して糸を引き抜きますが、絡まってしまったら急がず気長にリッパーで糸だけを切ってほどきましょう。
縫い目をほどく際には、細心の注意を払って行ってください。鋏や縫い針を使用する際は、安全に取り扱い、ケガや破損を防ぐようにしてください。また、ほどいた後の生地の状態を確認し、必要に応じて修復や再縫いを行うことも大切です。
以上が、ロックミシンで縫った縫い目を解く手順です。安全に作業を進め、縫い目を丁寧に解いてください。
日常のお手入れについて
ミシンのお手入れは、正常な動作と長寿命を保つために重要です。以下に、ミシンのお手入れの基本的な方法についていくつか紹介します。
- 基本的な清掃:
- 使用後は、ミシンの表面や糸の通り道などを柔らかい布で拭き取ります。ほこりや糸くずを取り除くことで、スムーズな動作を保ちます。
- 糸くずなどとるのにエアダスターなども便利ですが機器の奥に糸くずを送り込まないように気をつけて吹きかけましょう。
- 糸と針の交換:
- 縫い終わった糸は、針とテンションディスクから取り外します。新しい糸をセットする前に、テンションディスクの間に糸くずが詰まっていないことを確認します。
- 洋服の作成途中など日々同じ糸を使うときにはホコリがかぶらないように包布や備え付けのカバーをかけておきましょう
- 針は素材によってもその都度交換する必要があります。ロックミシンを使用する素材にも注意しながら、研ぎ澄まされた針を使用することで、生地への負担が減り、綺麗な縫い目を作ることができます。
- オイルの塗布:
- ミシンの一部にオイルを塗布することで、動作をスムーズに保ちます。取扱説明書に従って、適切な場所に適量のオイルを塗布します。
- 稼働チェック:
- 定期的に、ミシンの各部品が正常に稼働しているか確認します。特にテンションや送り歯、プレスフットなどの動作に問題がないかをチェックします。
- 専門家への点検:
- 定期的にミシンを専門家に点検してもらうこともおすすめです。専門家がメンテナンスや修理を行うことで、ミシンの性能を最大限に引き出すことができます。
ミシンのお手入れは、安全性や縫製の品質に直結する重要な要素です。取扱説明書に従いながら、定期的な清掃とメンテナンスを行うことで、ミシンを長く愛用することができます。
ロックミシンを使いこなすことによって作る楽しさはますます服作りの幅も広がります。ぜひロックミシンの使い方のバリエーションも広げて色々な服作りを楽しんでいきましょう。